時界を超えて ojamajo 2014年11月18日 (おジャ魔女ふぁみ ※本編の未来)会いたかった。ずっとずっと。 「あれが……女王様?」まだ試験を受けたこともない、彼女は新米の魔女見習い。人間界からこちらの世界へ初めて来た彼女は、やっと着なれてきた魔女見習いの制服に、真新しい正装のマントを羽織って立ち尽くしていた。輝かしい光の向こうから馬車が現れ、ゆっくりと姿を現したその人影。まるで歩くたびに星のかけらが宙を舞って踊るようだと思った。魔女見習いは思わず見とれていた。顔を薄いベールで覆い表情が確認できない。綺麗で大人っぽいドレスはよりいっそう女王様の雰囲気に相応しい。「女王様、こちらが¨例の¨魔女見習いです」女王に遣えていた使者が頭を下げて言う。誰に教わったわけでもないが、そこにいる小さな魔女見習いも連られて思わず頭を下げた。「頭をあげてください」女王にそう言われ、魔女見習いは頭をゆっくりと持ちあげた。さっきよりも近くに歩み寄ってくれていた女王は、同じ目線の高さになるよう少しかがんで、魔女見習いの顔を覗きこんだ。そして自ら顔にかかっていたベールをあげて、そっとその表情を覗かせた。魔女見習いは驚いた。女王は思っていたよりも若い魔女だった。大人らしいドレスと顔のベールで気づかなかったが。その瞳は大きく見開きながらも、優しく微笑みかけてくれている。白く透き通った肌、柔らかそうな頬。美人というよりも綺麗という言葉の方がしっくりくる。そんな素顔だった。「初めまして。 今日は突然呼び出してしまったこと、許してくださいね。 私がこの魔女界の女王です。」甲高く、まだあどけなさの残ると言ってもいい。その声に魔女見習いはどきまぎとした。まるで楽器の音色のように、落ち着いていて聴き心地のいい声だった。魔女見習いは立ったまま姿勢を正して言った。「は、初めまして!魔女見習いのふぁみといいます!」少し緊張しつつもハキハキと名乗ったその姿に、女王はくすくすと笑った。二人の見た目は人間の年齢で言えばおよそ10も年が離れていないだろう。女王と魔女見習いというよりも、まるで少しだけ年の離れた姉妹のようである。「女王様!お会いできて光栄です!!ありがとうございます!」なにも知らないふぁみ。呼び出したのは女王の方だった。女王はまだ若かった。緻密に予定が組まれた短期間で、魔女界のすべてのことを、膨大な資料及び足繁く行った現地調査から学んだ。先代の女王、遣いの魔女たちの指導や支えもあって、ようやく今の女王が在った。もっとさかのぼれば、それは女王がウィッチ・クイーン・ローズから生まれたときから。この世界に命を受けて、初めて出会った母親に愛情深く育てられた。ここ魔女界ではない、別の世¨界¨で。現在、母親は既に他界している。それは仕方のないことだった。女王と女王の母親自身が選んださだめだったから。けれど、今こうして出会うことができたのだ。女王が愛していた母親の、愛する孫に。どうしましょう。何から話していいのかわからない。話したいことは、本当は山ほどあった。聞いてみたいことも、山ほどあった。ふぁみちゃん、あなたのお婆さんはね……。でも、何から話せばいいのだろう。研鑽を積んだとはいえ、女王は難しいことを考えるのは、未だにあまり得意でなかった。だから決めた。とりあえず、目の前で緊張ぎみに顔を強ばらせているふぁみを、思いっきり抱き締めてみた。「ふぇ!?、じょ、女王様!?」突然の出来事にふぁみは戸惑って思わず大きくて変な声が出た。対して女王は、ふぁみを抱き締めたままゆっくりと目を閉じて、優しく無邪気に、こう言った。「会いたかったですよ、ずっとずっと」 [0回]PR