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めぐりあひて

二次創作ブログです。原作者様等とは一切関係ありません。

もつれ糸

何かあったのだろうか。やつの元気がないようだ。






 私の役割はいつも、こんがらがってるあいつの糸を、ちょっとほぐしてやるだけ。糸をきちんとほどききるのは、もっとあいつの近くに寄り添ってるやつらの仕事だ。
 それでいい。私とあいつは、それくらいの距離がちょうどいい。


 あいつはあくまで、自分の糸はまっすぐ綺麗に巻かれていると言い張るだろうか。
 汚れてはいるが、絡まってなどいないと、
 シンプルな思考回路だと、
 そう主張するかもしれない。


 けど私にはわかってる。
 お見通しアル。
 すっかりひねくれちまったあいつの中身。
 綺麗だったはずの瞳で、いろんな不幸を見てきて、
 綺麗だったはずの手で、たくさんの血を流してきて、
 心の内はぐちゃぐちゃになっちゃってる。

 私はそんなあいつに指を絡ませて、乱暴にぐしゃぐしゃと掻き回して、そっとほどきやすくしてやるだけ。
 私と全力でケンカをやりあうときに、ほんのり見せてくるあどけなさ。それが垣間見えれば、たぶんちょうどいい塩梅にほぐれた頃だ。





「よし、あとはマヨラとゴリラに任せるとするネ!」


 そう言って不意討ちで、手を伸ばして、ポンポンと頭を優しく叩いてやった。
 えっ…と、ケンカの動きを止めて。少し驚いた表情を見せるクソサドは、あらあら可愛くてあどけない。

 私はニンマリ笑って、じゃぁな…!と、もう一発。景気付けに肩をバシッと叩いてやって。背中を向けてその場を立ち去ろうとした。


「………てめェ、なんで、」


 背後から聞こえた声に振り返ると、やつはこちらを睨んでいた。けど、戸惑いも感じる。少しだけ震えているように、見えなくもない。


「なんで、わかんだよ……」


 いつも通りのひょうひょうとした顔の奥に、お前が何か不安を抱えてることくらい、わかる。
 もつれて一人じゃどうしようもなくなってることくらい、わかる。

 もうそれくらいには、近い存在になっちゃったのヨ。

 きっとそんなのあいつは嫌がる。
 だから、私はあえて離れて、放置してやるんだからな。
 感謝するヨロシ!


「延長戦はお前が落ち着いた頃にやってやるネ。覚えとけヨ」


 あいつの問いには答えてやらない。私は意気揚々と立ち去ることにした。







 と、角を曲がって、
 あいつから姿が見えなくなったところで、立ち止まった。
 地面を見て、目をパチパチした。


 ……ほんとは、あいつのことが心配。


 もっと何かしてやるべきなのかもしれないけど、……違う。
 私と、あいつは。これぐらいの距離が、ちょうどいいアル。

 そうやって自分に言い聞かせるのに、
 もう一人の自分が、ポツリとつぶやいた。


 私だって、あいつの糸、
 ほどいてあげたいな……


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