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めぐりあひて

二次創作ブログです。原作者様等とは一切関係ありません。

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おまじない

※ナルト第二部開始当初の頃

緊張していた、少しだけ。










「……サクラちゃん?」


ドアノブに手をかけたまま固まっているナルト。
私は慌てて、手をぶんぶん振った。


「ごめんごめん、ちょっとぼーっとしてただけ!」


数年前は見慣れてたはずのぼろぼろのアパート。
歩くと床がきしむし共用廊下も散らかっている。

ただでさえ埃っぽいこの場所に、この入り口に、サスケくんと一緒に何回走って迎えに来たかわからない。
あるときは急な任務が入ったとき。
またあるときは、カカシ先生だけでなくナルトまで待ち合わせ場所に来ないとき。
そう。結局三人で遅刻するはめになって、サスケくんが黙ってキレてたっけ。

ちょっと懐かしい気持ちになる。
でも、この部屋の中に入るのって実は初めて。
だから、なんとなく緊張していた。


「おじゃましまーす」


緊張してることをナルトに気づかれるのは癪なので、そんな素振りは見せないようにしつつ、
ナルトに導かれるまま、明るい声をあげて中に入った。

土間のところで履き物を脱ぐ。
裸足で床板に踏み込むとみしっと音が鳴る。

さらにもう一歩足を踏み入れて奥を覗きこむと、
予想通り…というか、予想以上に
畳の一間は完全に散らかっていた。






「いやー助かるってばよ」


先程の緊張なんてもはやどうでもよくなっていた。
私は部屋の中央、ちゃぶ台のそばに座り込んで、ひたすら片付けていた。

ごみ袋片手にがさごそ部屋を歩き回りながらナルトは呑気な声で私に話しかけてくる。
そして、よっこいしょとその大きなごみ袋を肩に担いでいた。
サンタクロースみたいだと言うにはサンタクロースに申し訳ないくらい……薄汚い。


「ったく、部屋の片付け一人でできないなんて呆れるわ。
 バイト料はきっちりいただくからね!」


燃えるものとそうでないものとを細かく峻別しながらぼやいた。

まぁ、長い旅から帰ってきたんだから、無理ないだろうけどさ。
でももうちょっと片付けられなかったのかしら。

作業しながら次のごみを袋につめようとしたとき、ふと目についたものがあった…。
ティッシュボックスやら漫画やらカップラーメンのごみやらの隙間から、窓の光をほんの少しだけ反射して光る固いもの。


「ナルト…、これ…」


私はごみを掻き分けてそれを手に取りながら言った。

一枚の写真と写真立て

ナルトのような性格なら、写真も生のままほっぽらかしてそうだけど、
それはきちんとした固いフレームで守られていた。
埃は被っているけど、無傷のまま。
ごみ屋敷に埋もれていた大切な宝を発見した、なにかの冒険家のような気持ちだった。


「それは捨てないでくれってばよー」


向こうの台所の方から声だけが聞こえた。
慌てる様子もなく、がさごそと作業しつつ。
こっちを見なくても私がなんのことを言っているのかわかってるようだった。


「捨てるわけないわよ
 あんた、まだちゃんとこれ持ってたのね」

「え?サクラちゃんは?」

「もちろん大事に持ってるわよ
 ちゃんと私の部屋の棚の上に置いてる」


カカシ先生がナルトとサスケを楽しそうに両手で掴んでいる。
二人はお互い睨みあっていて、
真ん中にいる私は、二人を尻目に笑顔で写っていた。

ときどきこれを眺めては、涙をこぼしていたことは内緒だ。

改めて見て思う。
最近こんなに笑ってないな、私。


「ねぇナルト、これね……サスケくんの部屋にも置いてあったのよ」

「え?サスケんちに?」


サスケという言葉に反応して、仕切りふすまの向こうからひょっこり顔だけを覗かせるナルト。


「うん…
 ナルトが行っちゃったあとさ、家宅捜索というか、サスケくんの部屋に手がかりがないか、暗部の人たちが調べていたのよ。
 それで、同じ班だった私もそのときに立会人として部屋に入ったわけ」


そう、驚いた。
写真たては、伏せられていたけれど
でも、そのままだったんだ。
この今私が手に取ってる写真立てと同じくらい、きれいなままだった。


「戻ってくるって信じていいよね、私たち」


ナルトがいつのまにか私のそばに戻ってきていた。
さっきナルトがいたところは気がつけばごみも十分片付いている。
部屋の真ん中、空いた畳の空間に私とナルトが二人きり。


「もちろんだってばよ、
 もしあいつが帰らねぇとか抜かしたら、俺が引っ張って連れ戻すから」


数年前とは違う大人びた笑顔に
数年前とは違う頼りがいを感じる。




「ナルト…」

「ん?」


座ってる私の目線の高さにしゃがみこんでいたナルト。
そっと両手をその金髪に伸ばした。
髪は見た目ほど固くなくてさらっと私の手に絡まる。

一瞬の出来事

普段つけている額宛のないそのおでこに
そっと唇をつけてまた離した。


「サ、サクラちゃん…、?!」


少し動揺してるナルト
ちょっと意地悪に笑ってみせた。


「今度は私も一緒よ?
 一緒に頑張りましょ」


これはおまじない
どこぞの火影様伝授のおまじないよ。

もう少しきれいにしたこの部屋に、また誘ってよね。
今度は私と、サスケくんを、ね。






「……あの、一人忘れてません?」


いつのまにか窓からにょっと覗きこんでくる片目白髪の忍者に私とナルトは驚いてごみ山にひっくり返りそうになった。

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