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めぐりあひて

二次創作ブログです。原作者様等とは一切関係ありません。

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Moratorium4

Moratorium3のつづき。

どこに、いるの?









ハルカはグランドフェスティバルで優勝した。

今日からトップコーディネーターの一員…といってもでも、今回初優勝したっていうだけで
まだまだなんだけど

でも心のそこから嬉しかった。
今まで支えてくれた家族、数々の戦いを互いに競いあってくれたライバルたち、そして一緒に旅を始めたサトシたち
みんなにいい報告ができることが何よりも嬉しい。

そんな思いでハルカはサトシと電話で話していた。


「ほんとにおめでとう」

「ありがとう!サトシたちのおかげよ」


お互いにほんの少しだけ成長したけれど
お互い変わらない表情で話していた。
ポケモンセンターのすみに並ぶ公衆電話のひとつ。
大会が終わって数日たち、ハルカはようやく腰を据えてサトシと連絡をとることができた。
お互いの近況、かつて旅で出会った人たちの話、ポケモンたちのこと、
久しぶりに連絡をとった二人の間に話題は尽きなかった。


「でさ、そんな感じでタケシも元気にやってるらしいぜ」

「そっかぁ…タケシほんとに懐かしいなぁ」


カントーに来る機会があればニビシティに行けばいいよと言われ、ちょうどカントーに行こうと思っていた、と答えるハルカ。


「ちょうどね、サオリさんに会いに行こうと思ってたの!」

「サオリさんって今カントーにいるんだっけ?俺も会いたいぜ!」

「ピーカピカッ!」


サトシの肩からひょっこりと現れたのはピカチュウだ。


「ピカチュウ!ほんと久しぶりかも!」

「ピーッカッチュウ!」

「なぁそういえばさ、シュウは元気か?」


ハルカはどきっとした。
もう数年も前のことなのに、あの夕方の出来事を一瞬思い出したからだ。
サトシは知らない。ハルカとシュウの間に何があったのか。

内緒にしたいわけではなかった。
けれど、わざわざ自分から話すこともないと思っていたから。
心のすみに置いたまま、小さく小さく留めたまま、開けないようにしていた。


「……シュウはね、最近会ってないの」


先程までの表情とは一転したハルカの様子。
基本的に人の感情に鈍感なサトシもさすがにこの変化に気づいた。


「会ってない?…大会でも?」

「うん。出てないの。だから会ってない」


ハーリーさんには会ったんだけどね。
おどけようとしたけれど、あまりうまく伝わらなかった。
サトシは続けて尋ねた。


「リボン5つ、シュウは集められなかった…ってこと?」

「まぁ、うん…そういうことかな」

「けど観客として見にも来なかったのか?せっかくハルカが優勝したってのに…」

「その、集められなかったというより、集めなかった、の方が合ってるかも」


サトシは目を見開いた。


「それってどういう…」

「シュウはね、……やめたの。
ポケモンコーディネーターを、やめたの…」


あまりに突然のことにサトシはかける言葉が見つからず、
ピカチュウもサトシと同じ表情で固まっていた。


「あのシュウが?!……なんで?!」

「わかんない。私が聞きたいかも!」


笑おうとしたけれどうまく笑えない。
なんでなのか、ハルカにも本当にわからなかった。

シュウがコーディネーターをやめたと知ったのはほんの数ヵ月前。
ハルカがシュウに想いを告白した日から二年以上は経過していた。

あの一件以来、ハルカとシュウとの間にはなんとなく溝ができた。
挨拶はするし、対戦も何度かあった。
けれどどこか、心の距離は遠ざかって。
それが災いしてか、旅の道中で会うことも比例して減っていっていた。

そんな中、グランドフェスティバルへの出場が決まり、
今度こそシュウに会える。
そう思っていた矢先のことだった。
引退を知ったのはシュウ本人からではなく、雑誌の記事。
多くの言葉の羅列した記事以上にシュウのことを、ハルカは知っていたつもりだった。
けれど、どうしてシュウがコーディネーターをやめたのか。
ハルカには全くわからない。
雑誌上も突然の謎の引退という感じで、その理由について深くはわからないようであった。


「今どこにいるのかもわからなくて。連絡もとれないの…」

「なんだよそれ。せっかくハルカが優勝したのに…」

「うーん…雑誌かテレビで見てくれてたら知ってるかもだけど」


そのとき、ハルカの背後からとんとんっと、肩をたたく人物がいる。
ハルカが振り返ると、そこにはジョーイさんがいた。気がつくと公衆電話の使用時刻を過ぎていた。


「ごめんね。サトシ、ピカチュウ。そろそろ切るね」

「あぁ。連絡ありがとう。
また改めて連絡するな
それと、一人で溜め込まないようにな」

「うん、大丈夫かも!」


ハルカはにっこりと笑って電話を切った。
消えて暗くなった画面を前に、ハルカは動けなかった。


「ハルカちゃん…なんだか、前にこの町に来たときより大きくなって、大人になったわね」


ジョーイがハルカの背中に話しかける。
そして、震えているその背中をさすってあげた。


「でもね、泣きたいとき。気の許せる仲間の前では泣いてもいいのよ。我慢しなくていいのよ」

「すみません…」


抑えていた涙が、一粒、二粒、三粒、
やがて溢れるよう流れ始めた。
サトシの言葉が優しくて。
もう十分、サトシには甘えてきたから。
今は、一人旅してる今は、こんな顔見られたくなくて。

ハルカとジョーイ以外誰もいないポケモンセンターのロビー。
そこは数年前、どきどきしながら海辺に向かって一歩踏み出した場所と同じ。
ジョーイはハルカとシュウの間の出来事を知っているわけではない。
それでも、ずっとお互いを競い高めあっていたライバルの突然の引退がどれだけのものか。ハルカの気持ちを推し図ることはできた。


「シュウくんの居場所、親戚みんなに電話して探してみるわね」


そうやって優しい声をかけてくれるジョーイを見て、
あぁ、またこうやって人に助けられている、助けられながら生きてるとハルカは感じていた。

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