My Generation2 okita x kagura 2015年05月01日 My Generationのつづき。(15/05/01加筆)トイレに行きたいやつは挙手にて報告 昨日は全国共通校内模試が高3全クラス一斉に行われる日でもあった。毎年全国の高3生全員がこの日に向け勉強をする。少々変わり者が集う銀魂高校であっても例外ではなかった。休み時間であっても、皆教科書やノートと睨み合う。友達数人かたまりながらも片手には参考書。授業終了のチャイムが鳴っても、その空気は授業中と変わらない。問題児だらけのZ組でもテスト直前に入ればさすがに自然とそんな空気になっていく。そこに、そんな空気を吸い取ってしまうような生徒が一人いた。それは、今から約一週間前の授業の時間。カンコンと乾いた音色で鳴るチャイムと同時に、彼女は席をバッと立ち上がり、大声で叫んだ。「よっしゃー!!休み時間っ!!みんなでドッジボールするネ!!」神楽は留学生と言えど日本語にほとんど支障がない。流暢に宣言した神楽の声に白色チョークの端を黒板の上でポキッと折ったのは、銀髪天パの教師。振り返ると、やはりお前かと呆れる教師。いつものように、問題児の留学生がボールを脇にかかえ、片足を机の上に勇ましく突き立てて、人差し指で天井を指していた。その姿はまるでどこかに実在する銅像か何かのようである。「…あのなぁ、神楽。俺まだしゃべってんだけど。『授業延長』っつーさり気ない特権が与えられてんだぞ先生には」国語の授業。黒板には最後の問題だけが書きかけの状態で残されていた。国語の教師でもありこのクラスの担任でもある銀八。そのやる気のない声とセリフで、でも中身は一応先生として一般的意見を言った。「ンなの関係ねーヨ!先生の人権はないに等しいアル」「え、何それ人権まで否定されちゃうの。つーかお前が一番聞くべき授業だからねこれ。日本語だからね国語って」「もうペラペラアル。余裕でへそが茶を沸かすアル」「はーいアルアル言ってる時点でペラペラじゃありませーん。今すぐ着席しやがれアル」「そんな使い方しねーヨ!」銀八は面倒そうに銀髪の頭をボリボリ掻く。神楽は怯まなかった。「ともかくっ、休み時間は生徒のものネ。みんなだって遊びたいアル。ね、みんな?」神楽はそう言って周りを見渡した。数ヶ月前のクラスなら、何も引っ掛かることなく神楽の言葉に賛同してわーわーと騒ぎ出していたことだろう。だがこの時そうはいかなかった。今までと違う疎ましそうな視線を向ける者。話をふられたくないからと視線をそらす者。神楽は頭にはてなを浮かべていた。「……みんな今日はなんでそんなに大人しいアルか?」神楽の言葉に誰も即答せず、しばらくの沈黙が続いた。そんな中、不穏な空気をなだめるべく、初めに口火を切ったのは、新八だった。「…神楽ちゃん、一応今日の授業も今度の試験範囲に入るし。ちゃんと最後まで聞いとかないと。あとで困るよ」至って優しい口調。いつもの新八と変わらないトーンに神楽は少し安心する。そこで、相変わらずの調子で言葉を返した。「ぱっつぁん、いつからそんなに真面目になっちゃったアルか?お前はそれでもダメガネアルか!?」「いやダメガネ関係ねーよ!!てか僕は元々真面目ですわりかし!」いつもの新八の突っ込み、神楽のボケ。二人のコントのようなやりとりにも笑いひとつ起こらない。ただならぬ感じの空気に神楽は少し黙った。さらに、新八に続くように声をあげた者がもう一人。「神楽ちゃん、私も人のこと言える立場でもないけど……あなたヤバいんじゃないかしら?ねぇ、先生?(ハート)」「いや俺に振られても。てか(ハート)って何??」猿飛あやめ、通称さっちゃんは眼鏡をかけ直しつつ、視線は銀八の方を常に向けながら神楽に言った。銀八はしっしとその視線を追い払うジェスチャーで適当に流す。「……ヤバいって、なにがアル?」神楽は神妙な面持ちで、誰にともなくクラス全員に尋ねるように言った。銀八がまあまあとなだめようとしたが、先に口を挟んだ者がいた。チッと銀八は舌打ちする。「成績に決まってんだろ」それは鬼の風紀副委員長、土方十四郎。常に開いている瞳孔も今日はひときわ開いている。「チャイナ、てめー今どれくらい自分が危ういのかわかってんのか。まぁ俺も危ういとこだが、危ういなりに自分で自覚してるつもりだ」神楽は目を丸くした。トッシーまで何さ?とからかうような気持ちにはなれなかった。「ヤバいとか危ういって………まさかの成績の話アルか?」神楽の反復に答えてあげる者はいない。「え?…そんなのみんなだって。勉強嫌だっていつも言ってたアル。どうだっていいネ」神楽の頬に少しだけ汗が伝った。冷や汗。みんなが黙って誰も答えない。冷たい空気が流れ込む。肌がピリピリするような感覚。ところが突然、その空気を切り裂くような音が響く。バンッ!!机が力一杯こぶしで叩かれてた音がした。皆の視線が一度にそちらへ向けられた。「どうでもよくはないだろ!」皆の視線の先、そこには左目に眼帯をつけた柳生九兵衛、通称九ちゃんがいる。彼女は机にこぶしを置いていた。あまりの気迫に神楽はごくっと唾を飲み込んだ。「次は移動教室だぞ。つまらないことを言わず早く授業を終えねば、次の授業に支障をきたす。全く。迷惑なのも大概にしてほしい…」神楽は怯む。「迷惑」って?どうゆうことネ?動揺しつつも、ムッと九兵衛を睨んだ。九兵衛はまっすぐ今にも切りかかりそうな視線を神楽へ向ける。負けじと睨み返し続ける神楽。普段普通の女の子と同じように過ごす九兵衛だが、時折見せる鋭さはみんなの空気を一転させるには十分なものだった。今まで黙っていた生徒たちも、隣近所とザワザワ話し始める。気づいた時にはほとんど収拾がつかなくなった。「自分が勉強すんの嫌なだけなんじゃね?」「みんなを巻き込まないでほしいよ」ちらほらと聞こえてくるそんな会話に、神楽は段々いたたまれない気持ちになっていった。今にも神楽が何かしでかしてしまいそうな状態の寸前、今まで黙っていた銀八がさすがにこの話に割り込んできた。「あーハイハイ、わーったから。君ら時間なさそうだし?しゃーねぇからこの問題今度に後回しにすっから。今度までにみっちり考えてくるよーに。んじゃ、とっとと次の授業教室行ってこーい。解散!」えーーっ!!という皆の文句の声。それも直おさまり、イスから立つ音がうるさく響きガヤガヤと皆移動の準備を始めた。また宿題増えた。ほんと迷惑だ。そんな野次のような声がパラパラと周りから聞こえてくる。神楽はイスにパタンと座り込んだ。移動教室の準備にも手をつけず、しばらく俯いていた。そんなクラスの雰囲気の中、一人の世界に入っていた者がただ一人だけいた。視界はお気に入りのアイマスクで閉ざされていたが。隣から聞こえてくるやんちゃな声をずっと気にかけていた人物。「おい総悟、次第二理科室に移動だぞいい加減起きろ」土方に声をかけられて、へーイとアイマスクを髪の毛の上にあげたのは沖田。そして深くもたれかかり寝そべっていた上半身をノロノロと起こした。「総悟お前、よくあの騒ぎの中で起きずに寝てられたな。つーか隣だろチャイナの」「……はて?なんかあったんですかィ?」そう返事をした沖田だったが、一連のクラスの様子は全部寝たふりをして実は聞いていた。 授業は終始寝ていたが、神楽が授業時間の終わりの方で叫んでいた時に沖田はパチンと目が覚めた。またてめーかよ睡眠妨害の犯人は。そう文句のひとつでも垂れてやろうと思ったが。思わぬ方向にクラスの空気が流れていってしまった。そして関わるのがめんどくさいのでそのまま狸寝入りしていたのだ。沖田はふと顔を隣に向ける。神楽が下を向いてじっと座り込んでいた。「……よぉ、何してんだてめー。うんこでも漏らしたか?」沖田が話しかけても神楽は視線をあげなかった。「…うんこ漏らす方がまっしアル」ぼそっと呟いた神楽の声。何言ってんだこいつ、とテキトーにあしらい、沖田はそのまま教室の席を立った。それでも神楽はその場を動かなかった。一度沖田は振り返る。じっとしているその姿を気にかけつつも、教室を後にした。 [0回]PR